5月17日に南房総市千倉町の高家神社(たかべじんじゃ)で春の例大祭・庖丁式奉納
が行われました。何度も高家神社には行った事があるのに、庖丁式を一度も見た事がなく・・・
お客様に喋るのに「まずい!!」と思い、いそいそと行ってきました。
まずは、高家神社の由来から・・・
高家神社は延喜式に登載されている式内社であり磐鹿六雁命を主祭神とする日本唯一料理の祖神を祀る
神社です。「日本書紀」第12代景行天皇53年冬10月の条に磐鹿六雁命を料理の祖神とするいわれ
が記されており、また尊称を高倍神とし宮中醤院においても醤油醸造、調理の神として祀られています。
江戸時代初頭の元和6年、神社官司の祖先となる高木吉右衛門が桜の木の下から木像と二面の御神鏡を
発見し社を建てて祀り、さらに200年余りの後、この鏡面に御食津神内、磐鹿六雁命と記されていた
ことが判明し、所在があきらかではなかった高家神社のご神体であるとして文政2年、京都吉田御所に
証を願い御帛をいただきました。
庖丁式はと言うと・・・
由来・歴史は、はるか平安時代の初期まで遡ります。時の世を治めていた第58代光孝天皇は、諸芸に
優れた文化人であったとされますが、自ら食材を採取されるほど料理に対する造詣がたいへん深く、側
近で、「日本料理中興の租」と言われる四條中納言藤原朝臣山蔭卿に命じ、新しい料理作法を作らせ、
儀式として定めたのが、現在まで続く「庖丁式」の始まりだとされています。
慈悲深い天皇は、人間が生きていくために、他の生き物を殺生しなければならないことに大変心を痛め
ていたようで、「犠牲となった生き物を供養し、霊を鎮める儀式の形にできないか」という想いを受け、
山蔭卿が苦心の末に「庖丁式」を完成させたという秘話も残されています。
庖丁式は、右手に式庖丁、左手に真魚箸を持ち、古式に則った無駄のない所作と熟練の技をあわ
せながら、一切手を触れることなく食材をさばいていきます。
まずは、まな板を塩と水で清めます。
その後、食材の登場です。
本日は、黒アワビ1㎏です。5月にアワビが解禁されましたので、大漁願ってアワビだそうです。
献花と式庖丁・真魚箸が持ってこられました。
献花は、食材がさばかれる間、まな板の上に添えられ、すべての料理食材の生命を尊び、その
霊を慰める為のものです。
出来上がりは、花と海だそうです。千倉町をイメージしてます。
上手に写真が撮れなかったので、分かりづらいと思いますが・・・
高家神社の祭礼は、下記の通りです。
5月17日 春の例大祭・庖丁式奉納(大漁祈願祭)
10月17日 秋の例大祭・庖丁式奉納(旧神嘗祭)
11月23日 新穀感謝際・庖丁式奉納(旧新嘗祭)
毎月17日 月次祭・庖丁供養祭
是非、みなさんもご覧になって下さい。