イベントツアー「茂名の里いも祭りと古道を歩く」報告

春の気配を感じる季節になってきました。温かい館山・南房総では、世間の冬を「早春」と
呼んでいるので、1月から春なのかもしれませんが・・・
田んぼの土手をみるとフキノトウが顔を出しています。

2月20日に行われたイベントツアーの報告をします。
今回は、館山市の茂名という地区にあります里芋祭を見学に行ってきました。
この「里芋祭」は、毎年2月19日から21日かけて行われる、国指定重要無形民俗文化財に指定
されてる行事です。約90個の里芋を山型に積み上げて、飾りを付け神への供え物とを一対作り、茂
名の鎮守の十二所神社に奉納して一年の五穀豊穣と無病息災を願う祭りです。

イベントツアーは、集合場所の洲宮神社から出発します。
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洲宮神社の祭神は、天比理乃咩命(あまのひりのめのみこと)。元は、魚尾山に鎮座していましたが、
文永10年(1273)の火災で焼失したため、現在地に移転しました。しかし、現在の境内から土製の鏡
や勾玉・高坏などの祭祀土器が出土しており、現在の地も古代祭祀遺跡であったことがわかります。

そんな洲宮神社を後にし、茂名地区へ向かいます。
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里芋祭の当番のお家の前に寄り、茂名区民館へ。
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区民館の前には、当番の家から運ばれてきた、里芋と鯛と餅が並べてあります。
この里芋は、氏子の家々を2軒1組とするツミバンナカマ(積み番仲間)と呼ばれる組織を単位に栽培、
供出されます。19日の夜に年番制で担当する当番の家で男衆が積む作業を始めるそうです。
作業をしている場所には、女性は入る事を禁じられています。

区民館から十二所神社へと区長・神職・総代・当番らが列をなして向かいます。
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十二所神社で祭典を行い祭典が終わると、氏子の各家に分配され、無病息災を願って食されます。
この芋を食べると風邪をひかない、子宝に恵まれるなとと言われているそうです。

ちなみに・・祭りで使われる里芋は、「茂名芋」と呼ばれていてアカメの一種だそうです。
茂名の各家で20~50株ほど栽培されていて、茂名の人々が代々栽培を受継いできたもの
です。大きな親芋の周りに子芋がたくさんつくことから、豊穣や子孫繁栄を象徴する縁起も
のであると言われています。

十二所神社を後にし、素敵な馬頭観音を見学しに
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六観音の一つ。馬頭観音は怒りの憤怒の形相で表されます。怒りの激しさによって苦悩や
諸悪を粉砕し、馬が草を食べるように煩悩を食べ尽くし災難を取り除くとされています。
また、畜生道に迷う人々を救済し、家畜の安全と健康を祈ったり、旅の道中を守る観音様
としても信仰され、道ばたに石の馬頭観音像が置かれたりしました。昔は馬は武家も農民
も生活の一部となっていて、馬を供養する仏としても信仰されていました。

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馬頭観音は、頭の上に馬の頭を冠のように乗せていて、三面や四面の顔に2本の腕や8本
の腕など様々な姿があります。また、手には煩悩を打ち砕く剣や斧、棒を持っている姿
が多いそうです。

小川が流れる道を通り、明神山へ向かいます。
洲宮神社が、始め明神山の洲の辺に鎮座していた場所です。山というから、高い場所かと
思っていましたが・・・こんな感じです。
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現在も御浜降神事が、この場所で行われているそうです。
まぁ~安房の地は、大きな地震とともに隆起しているので、当時の明神山は高かったのだと
思います。

お昼は明神山で・・・里芋祭の里いもを貰ってきたので皆さんと一緒に食べました。
お腹もいっぱいになり、お昼寝したいポカポカ陽射しの中で、布沼浅間神社へ。

少し登ると木で出来た鳥居が見えます。
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階段を昇って行くと、頂上に祠があります。浅間神社です。
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ここからの景色はこんな感じです。
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あとは、洲宮神社へ畑・田んぼを抜けて戻りました。
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天候にも恵まれ、楽しく終わったウォーキングでした。次回のイベントツアーは、
3月3日の安馬谷八幡神社御的神事です。こちらの神事は、南房総市の文化財に指定
されています。是非、一緒に見に行きましょう!!