各地で大雨の被害やゲリラ豪雨で大変な所もありますが、案外おだやかな南房総。
そんな中、お散歩ツアー「古代からの農村「香」」を小雨の降る中、開催しました。
集合場所は、香集会所。コースをご紹介する前に、香地区とは、どんな所なのか
簡単に説明します。
今から約1200年位まえ奈良天平の時代には、平城京にアワビ干物(のし)を
貢ぐ、朝廷直属の海人(漁師)が住み着いていました。当時、アワビは貴重なタン
パク源で、特に塩見、香で加工された物は高級品でした。平城京跡を発掘した時、
木簡(荷札)が出土し、「賀宝(こう」と書かれた木簡が出土しました。
香川に沿って集落があったので、香(こう)の谷津(やつ)と呼ばれていました。
本当なら「香村(こうむら」が正しい読み方だそうです。古い墓石にも「かうむら」
と彫られています。さらに時代を遡ると、縄文遺跡も点在し、古代より続く山漁村
であったことが伺える地域です。
そんな地域を約2時間4kmを散策します。
まずは、集会所を出て下の堂へ。
宝永4年(1707)に地元の鈴木七右衛門(蓮求)が日本廻国を成し遂げた記念の廻国塔が
あります。
海岸を通り、香掩体壕跡へ。
館山海軍航空隊の航空機格納庫としてつくられた施設です。現在もはっきりと残されて
いるのは、ここと赤山地下壕裏だけです。
ういのガイドは、長靴を履き調査したそうです。
次に向かったのは、浅間神社です。
香の鎮守で、富士山の神が祀られています。毎年5月31日が「お山」と呼ばれる山開き
で、山頂の奥の宮にはだしで登る風習があります。
(今回は、奥の宮へは、行きませんでした。)
ここの狛犬は、顔がとても特徴があります。
口の所に蜘蛛の巣が沢山あったので、お客様が、狛犬の歯磨きをしてくれました。
香川沿いを歩き、祭面の庚申塔へ。
ここは、竹に囲まれていて、道路からはちょっと気づかない所にあります。
「庚申青面金剛童子」の文字と三猿が刻まれている享保3年(1718)の庚申塔です。
与兵衛夫婦をはじめ8軒の夫婦で建立したもので、昔は南側の高台にありましたが、
穴から落ちてしまったので、与兵衛屋敷に建てなおしたものだといいます。
民家の裏山に、宝篋印塔があります。今回は、お家の方に許可をもらい、敷地内を通り
見せてもらいました。
この宝篋印塔は、市指定文化財になっています。応永8年(1401)の宝篋印塔含めて、
2基の宝篋印塔と5基の五輪塔があります。元々は、裏山中腹のヤグラにあったの
ですが、戦時中の軍の施設建設が行われて下ろされました。伝説では、里見の武将
5人の墓だと言われています。なぜ?そんな伝説があるのかと言いますと、裏山は
ヨウガイ(要害)と呼ばれ、里見の出城と伝承される戦国時代の城跡だったからです。
次に向かったのは、金剛寺です。
真言宗のお寺で、山号を大明山といいます。
無縁仏のなかに香谷村女念仏仲間19人が建立した如意輪観音像があります。
元禄前後のものだと思います。
本堂の木鼻は、ちょっと他では見られない可愛らしい物です。
ピグモンに似ていませんか?
次に地蔵堂へ。地蔵堂は上の堂とも呼ばれています。
墓地には、念仏講による元禄13年(1700)の地蔵尊像や、同講の女性12人が元禄7年
(1694)に建立した如意輪観音があります。
その後、集会所へ。
小雨の降る中、無事にツアーは終了しました。