月イチツアー「館山地区名所旧跡めぐり」報告

あっという間に5月も終盤になりました。皆さまGWはいかがお過ごしでしたか?
私の場合、11連休でしたが、あっという間に過ぎてしまいました。
観光地に居るので、ちょっと外にでれば観光客気分を味わえます。

そんなこんなで、4月の月一ツアー「館山地区名所旧跡めぐり」を開催しましたので、ご報告します。
ツアー当日は、暑い日になりました。出発は、花見の人達でにぎわう城山公園から出発です。
まずは、天王山・大膳山経由で妙音院をめざします。
天王山、御霊山は里見氏がいた時代に物見として隅櫓の役目を果たし、大膳山へと続く尾根と鹿島堀は館山城の外郭でした。里見以前から宿場があり社寺を多数配置し外部からの侵略に備えました場所です。

説明をしながら、妙音院へ。

高野山金剛峰寺の直末の寺院で古儀真言宗の寺院です。里見時代には161石の寺領があり。徳川の世でも紀州徳川の繋がりで75石を安堵されていました。阿弥陀堂香炉には葵の紋が残っています。境内敷地内には88ヶ所の写しが祀られ、霊場巡りができます。
5月26日(日)午後から火渡りと人形供養が行われます。火渡りは、最初の方だと熱いですが、終盤は大丈夫ですので、是非お参りに行って下さい。

次は慈恩院へ。

曹洞宗の寺院です。里見家代々の持仏堂をして館山城内に創建したのが始まりで、天正9年に里見家康の弟玉峰和尚が、城内に祀られていた千手観世音菩薩と聖観世音菩薩を本尊として現在地へ移しました。慶長8年(1603)に義康が没するとその菩提寺となり、慈恩院となりました。

里見義康の墓と句碑です。

慶長8年(1603)11月16日没、31歳でした。宝篋印塔の墓の裏に建つ「当山開基」の標柱と周囲の石垣は、明治42年(1909)の里見氏墓域整備のときのものです。右側に建つ句碑には、整備に関わった正木貞蔵(号月舟)の句が刻まれています。

次は、十二天神社へ。
境内に茂るビャクシンは千葉県最大で高さ17m、推定樹齢800年と伝わっています。社殿には館山藩絵師・川名楽山が奉納した後藤義光作の龍の彫刻があります。

谷奥には、つとるば祭祀遺跡があり、土製の模造祭祀道具が多数出土したことから、大寺山の遺跡の祭祀場だった可能性が考えられます。本物を使う副葬品に対して祭祀用の土製模造品は本物そっくりに精巧に作られた使い捨ての祭祀道具と考えられています。

次は、沼地区にある天満神社へ。

祭神は、藤原道真公。嘉保3年(1096)安房国司であった源親元が京都天満宮より歓請したと伝えられています。古くは寺を建立する時は、災除けの神社を先に建てる習わしがありました。その名残で天満神社と総持院は同じ梅鉢の紋です。境内には川名楽山の碑があります。

次は、石塚やぐらへ。
古くは地蔵堂があった場所です。崖面を掘りこんだヤグラ内に五輪塔の浮彫が施されていて、鎌倉時代から室町時代のこの地域の武士の墓だと考えられています。道端には馬頭観音や六地蔵も立っています。

次は、総持院へ。
真言宗智山派の寺院で、本尊は不動明王。平安時代の国司源親元が永長2年(1097)に建てたと伝えられています。地元では「沼の大寺」と呼ばれています。

裏山には、大寺山洞窟遺跡があります。昭和34年(1956)住職が発掘をはじめ、平成4年~10年千葉大が調査を始めました。
館山湾を望む標高25mの沼Ⅰ面にある3本の海蝕洞窟郡で、標高30mの1洞は奥行き25mあり、古墳時代中期に舟葬墓として再利用され200年に渡り利用され、12基以上の舟棺がありました。古墳を造らず海人独自の海上他界観をもった葬送儀式が行われていた事を確認できた初めての遺跡です。副葬品も東国の古墳にも劣らない貴重な短甲、剣、漆塗棺、銅製鈴などが出土し海上交通を支配していた豪族の墓とされています。2洞は、奥行き5m、高さ2mで水が溜まり奥まで調査されていません。3洞は、奥行き10m、高さ4mで沼Ⅱ面の海蝕洞窟形成時(4000~3000)年前漁撈生活の番屋であったらしく、漁労道具・生活用品が数多く出土し、骨角器の制作道具や加工中の材料もあり工房もあったようです。

次は、北下台へ。

北下台のところには、昭和10年(1935)、築港建設に伴う道路開削工事中に発見された、海蝕洞で奥行き30mと推定される北下台縄文遺跡があります。須恵器・碧玉の管玉・瑪瑙の勾玉・海外交易品の銅釧(腕輪)などの副葬品が出土し古墳時代に埋葬遺構として使用されていました。標高的には沼Ⅳ面(1500~700)年前の海蝕棚にあたりますが、沖の島遺跡と同じ海退時の縄文遺跡かもしれません。北下台頂上の露岩にヤグラが掘られ五輪塔が浮彫され、納骨穴、建具取り付け溝跡が残っています。時代的には、鎌倉・室町時代の遺跡です。

あとは、出発地点の城山へと戻りますが、途中、館山神社へと寄り道。

無事に出発地点へと戻りました。城山公園周辺には、すご~く昔からの歴史が多く残っているなぁ~と思ったコースでした。
こんなのもありました。

ヒカリモ

天満神社の牛

田んぼ道からの城山

総持院からの城山

のどかな景色が楽しめるコースでした。