気が付けば2月。館山・南房総では、陽だまりは暖かいのですが、房州名物の大西が吹く日数
が多くなってきています。この大西が吹くと、海岸線なんかは歩くのが大変です。車も潮でシオ
シオになってしまいます。ご興味のある方は、体験しに来てください。
さて、1月の月イチツアー「巡礼観音道」を開催いたしましたので報告します。
出発は、南房総市和田町にある正文寺さんの駐車場からです。
まず最初に向かったのが、お塚と呼ばれる場所です。
このお塚には、正木氏の子孫で江戸御三家・紀州藩家老になった正木為春は三浦姓に戻し、
その子孫が文化5年(1808)に建てた、正木家遠祖の三浦義同(道寸)の供養塔や、正木時忠・
時通の供養塔があります。
ここで少し解説を・・・正木為春は、徳川家康の側室になったお万様のお兄さんです。お万様は、
徳川御三家の紀州徳川の頼宣、水戸徳川の頼房の生母なのです。そんなこんながあり、徳川家康
から正木姓を改め三浦姓に復することを許されたそうです。
三浦義同(道寸)は三浦半島で活躍した武士で永正13年(1516)北条早雲に攻められ自害しまし
た。その義同(道寸)の子・時綱が房総に逃れ正木姓を名乗ったとされています。
そんなお塚を後にして、寺谷普門寺跡入口へとむかいます。
宝暦4年(1754)、鈴木氏(普門家)が建てた普門寺の参道入口の道標と普門家の鈴木正彦氏が
平成元年に建てた普門寺沿革です。
ここから普門寺跡へと向かいます。
途中、ちょっと険し登りがありますが、問題なく登って行くことができました。
普門寺跡です。岩屋になっていて、ここにお堂があったそうです。
ここで、普門寺の説明を・・・
安房国札観音札所普門寺は、天平19年(747)、行基の開基と伝えられています。本尊は聖観世音
菩薩で行基作と言われています。当初、普門家(鈴木)裏の伊豆山山頂付近の横穴に、聖観世音立
像を祀っていましたが、文化年間(1804~1817)、当主鈴木粂衛門は普門山の中腹に岩屋を設けて寺
を移転しました。その後、飛騨の国より一千カ寺参りをしていた仁兵衛は、普門家東側に居を定め、
岩屋を改修し、天保11年(1840)より弘化2年(1845)にかけて、下向道を開鑿しました。また弘化
2年より嘉永6年(1853)にかけて堂面隧道までに参道を拓き、名主角田勘右衛門が中心となって皇
極天皇碑を建立し参道供養を行ったそうです。
皇極天皇碑
江戸時代末期には、無住になり、堂屋が赤忠を頭目とする夜盗たちの根城になり、被害は多々にお
よび当主鈴木安造は寺を正文寺に寄進し堂屋は取り壊されました。
赤忠?とお思いの方、説明します。
赤忠は村々の金持ちばかりを襲って金銭・衣類・米を盗み、日々の生活が苦しい人々に盗んだ金品を
恵んだことから「義賊」と評判になりました。役人たちの捜索にもかかわらずなかなか捕まえる事が
出来なく、正木(那古地区)のワラ小屋に潜んでいるところを発見され逮捕となりました。
明治の初めに打ち首となったそうです。赤忠は岩糸村(旧丸山町)出身で本名は忠蔵、酒を好みいつも
赤い顔をしていたといいます。
堂面隧道を通り次に向かったのは諏訪神社。
この堂面隧道は迅速図上で公道に隧道の記号があるのは、安房では館山市小原と荒川・平塚間3箇所だ
けのようです。
古道を通り、裏から諏訪神社へ。
祭神は建御名方命(たけみなかたのみこと)
貞応年間(1222~1224)、真田氏が社殿を創建。永禄年間(1558~1570)に里見氏が戦乱依頼の社殿を
修築し、慶長19年(1614)に村民によって再建されました。その後、社屋の造営・修造等があり、
現在の本殿・幣殿は昭和4年に新築されました。
諏訪神社を後にし、唐ケ作地区・神田地区を通って出発地点の正文寺へと行きます。
仁王門
宝暦5年(1755)に建立され、その時仁王尊が誕生寺から贈られました。安政年間に現在の門
が再建されました。
本堂
正文寺は、日蓮宗で小湊誕生寺の末寺。本尊は日蓮聖人奠定(てんてい)大曼荼羅です。
安元・治承(1175~1180)の頃、当地の豪族真田氏の菩提寺として創建された禅宗のお寺
でしたが、天正2年(1574)に勝浦城主であった正木頼忠(環斎)が父・正木時忠の菩提
のため日蓮宗として再建したと伝えられています。
大正6年(1917)の雷火で祖師堂以外は焼失し、昭和8年(1933)に本堂が再建されました。
祖師堂
宗祖日蓮聖人を祀っています。正木環斎(頼忠)自刻と伝わる日蓮聖人像や、正木家累代の
位牌、お万の方寄進の科註箱(高座の説教の時に教本・道具を入れてお箱)などがあります。
外陣正面には明治21年(1888)、館山の川名楽翁によってかかれた絵馬「日蓮鎌倉帰着之図」
が掲げられています。
っという事で、今回のウォーキングツアーも無事に終わりました。
次回は2月12日の月イチツアー「頼朝伝説と民話のふるさと「大高尾」を訪ねよう」です。