月イチツアー「平松城跡と周辺を訪ねる」報告

新しい年になってもう1ヶ月が過ぎてしまいました。
ここのところ、寒い日が続いています。雪がたくさん降ったりと、大変ご苦労されている地域
の方もいらっしゃるみたいですが、館山・南房総は、路地花が満開になっています。

今回の月イチツアー「平松城跡と周辺を訪ねる」を報告します。その日は、若潮マラソンという
イベントが館山市で行われていましたが、また旅倶楽部では古道を歩いてきました。

スタートは三芳農村環境改善センター(旧村役場)を出発。
ゆめ咲き通りを通って行きます。
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まずは、人丸神社へ。
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人丸神社の祭神は柿本人麻呂です。創立年月不詳ですが、「造立一宇」と書かれた江戸時代の元文6年
(1741)の古い棟札等が残されています。江戸時代には広く崇敬されていたらしく、和歌・俳句の奉納
が多く、歌舞伎役者の二代目団十郎を襲名した海老蔵(享保20年頃)、三代目の三升、四代目の松本
幸四郎(寛保2年頃)の俳句が奉納されています。
柿本人麻呂は、持統・文武朝の歌人で、万葉集の代表的な歌人です。名は「一麿」とも表記されます。
後世、山部赤人とともに歌聖と呼ばれ、称えられています。
人丸神社は、全国的に見ても数少ない神社です。

次に向かうのは熊野神社ですが、古道(明石街道)を通って向かいます。
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昔、人々が行き来をしていたのが分かるものが街道沿いには残されています。

熊野神社にお参りし、平松城址へ向かいます。
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平松城は、池内平松の台地上にあります。標高約50m、約500㎡の広い半島状の台地で、その西北隅に
標高77.3mの小丘があり、主郭部(本丸)と考えられています。天保3年(1832)立野良道の著わした「房
総志料続篇巻之十二」に「安西は安房郡の内也。池之内といふ処に安西式部の城墟有り、此辺を安西といふ
なるべし。」と記しています。また、通説では治承4年(1180)、源頼朝の安房入国の時、最初に参向した
安西三郎景益の居館趾と考えられています。付近には木戸、御園、馬場畑などの地名が残っており、城井と
して姫ケ井、松葉ケ井などがあります。

城跡を後にして、里見氏ゆかりの寺、延命寺には旧道を通り向かいます。
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途中、馬頭観音の石仏などもあります。

延命寺に到着です。しばし、ここで昼食休憩になります。
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延命寺は、曹洞宗の寺院で、山号は長谷山。本尊は虚空蔵菩薩。開基の里見実堯以降忠義までの後期里見氏
の菩提寺です。慶長年間には里見氏から217石余の寺領が与えられ、その後、徳川家からも同様に与えら
れ保護されました。安房の曹洞宗の中心的なお寺です。観音堂には、十一面観音菩薩が安置され、安房国三
十四観音巡礼の24番札所として知られています。また、天明4年(1784)に江戸の絵師・江府宗庵が製作し
た地獄極楽絵図16幅は、南房総市の文化財に指定されています。この絵のモチーフは悪事を重ねることの
恐ろしさ、現世で善行を積むことの必要性、御仏の慈悲、死の恐怖、生命の尊さとなっており、往時の世相
を反映したものです。公開日は、毎年8月16日です。

本日は、魚鼓(梆)(ほう)なるものを見せていただきました。
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禅寺で「食事の報せ」を告げる合図として鳴らされていました。江戸期に現在の木魚が伝わるまでは、梆の
ことを「木魚」と呼んでいたといわれ、梆が木魚の原型とする説もあります。
魚は寝る時も目を閉じないことから、不眠不休で修行に励む姿の象徴とされ、梆を鳴らすことで、修行僧の
眠気や怠け心を戒める、という意味が込められています。禅宗独自の法具です。

本堂の裏山へ移動します。里見氏歴代の墓に行く手前に(階段下)に里見利輝供養塔があります。
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里見忠義が元和8年(1622)に倉吉で病没し、跡継ぎなしとされて里見家は滅亡しましたが、側室には何人の
男子がいたようで、その一人が利輝(1614年生~1644年没)です。安房の地で育ったといわれ、子孫によ
り供養塔が建立されました。

次に階段を上り里見氏歴代の墓へ。
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後期里見氏、義堯、その子義弘、天文の内覧で殺害された義堯の父・実堯の墓所とされています。
里見氏塋域と彫られた石垣の中に、五輪塔・宝篋印塔など8基が並んでいますが、大部分は積み替
えられていて本来何基あったのかはわからない状態です。また、真ん中にある板石塔婆は、里見と
は関係はなく、鎌倉時代の武士のものです。しかし、この板石塔婆は県指定有形文化財に指定され
ています。

その後、歴代住職墓域をお参りし、延命寺をあとにし集合場所へと戻っていきます。
延命寺には、まだまだ石碑・石仏などがありますので、ぜひお参りに行って下さい。

そんなこんなで、無事に1日が終わりました。今回は、神奈川の綾瀬市からや千葉市からのお客様
も来ていただきました。若潮マラソンが開催されていたので、帰りの渋滞とか大丈夫だったか心配
です。また、これに懲りずお越し下さい。

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